リア王を観る


朝は仕事の応援で神戸へ。眠い目を擦りながら何とか消化。昼からは観劇のために大阪へ。時間ギリギリに劇場到着…近いようでやっぱり遠い大阪。
リア王」と言えば、シェークスピア原作の有名な悲劇です。観劇歴の浅いわたしは、シェークスピアを観るのは初めてでしたが、平幹二朗主演ということで楽しみにしていました。そして、観劇直後の感想はやっぱり「圧巻!」の一言に尽きます。平幹二朗さんは御歳74歳らしいのですが、そんな年齢を感じさせない迫力の演技で、終始圧倒されっ放しでした。まず、シェークスピア劇ならではの仰々しくも長い台詞が、自然な声なのにはっきり聞こえることに驚きました。末娘役のコーディリア役の内山理名さんが、張った声なのにはっきり聞き取れないのと対象的で…やっぱりそれが舞台における『演技力』なのかなと。もっとも内山さんは初舞台らしいので、そんな演技力はこれからでしょうが。リア王の老いに対する苛立ちや裏切った娘二人に対する怒りはもうろくした老人とは思えぬ激しさで、それを平さんは恐ろしいほどの勢いある演技で表現されてました。休憩を挟んで約4時間という長い舞台ですが、それを冗長に感じさせない素晴らしさでした。脇もまた素晴らしく、リア王の娘でコーディリアの姉二人(とよた真帆さん・銀粉蝶さん)も徹底した悪役ぶりが素敵でしたし、そんな姉二人を騙すエドマンド役の池内博之さんは佇まいも声も色気があってさすがに魅力的でした。個人的にとても良かったのは道化役の山崎一さん。軽くて笑いを誘う道化ですが、リア王の胸に刺さる言葉を何回も投げかけます。その軽さと棘がいいバランスですごくよかったです。最後はやっぱり悲劇。「コーディリア!」というリア王の叫びが悲痛で胸を打ちますが、再会できて互いに分かり合えたという意味ではよかったのかなと思いました。