原作と映像

先日観た映画「蟲師」の原作が気になって、何気なく買ってみたら大ハマリ。とりあえず、5巻まで買って読みました。これは妖怪モノではないけれど、そういう不思議なものを扱った作品が好きです。なぜ好きかというと、そういう作品は、人間ではないもの』を扱いながら、かえって『人間』というものを浮き彫りにするから。人間の強さや弱さが、『人間ではないもの』との関わりによってより際立つ。人間は時に残酷で、優しく、儚く、哀れで、だけど強い生き物。だから?読み終わった後に、複雑だけれど少し温かな気持ちになります。同じ『人間ではないもの』を扱っていても、コメディタッチのものとかは別ですが。ひたすらドタバタなのは苦手…。
そして、原作の漫画のファンに映画が不評なのが分かった気がします。確かに、原作とは違うわ。特に「ぬい」が。映画の「ぬい」は執念の人で少し怖いくらいでしたが、原作の「ぬい」は…。原作全体に漂っている淡々とした雰囲気が映画ではあまり表現されていないかもしれない。その雰囲気が「蟲も人もあるがままにある」という作品の根底に流れるものとすると、違和感が出てきても不思議じゃないかも。それでも、映像美や役者の演技は良かったと思うけれど。うーむ…。やっぱり原作があるものの映像化は難しい。

蟲師 (1)  アフタヌーンKC (255)

蟲師 (1) アフタヌーンKC (255)