「私は貝になりたい」を観る


公開から1ヶ月。やっと「私は貝になりたい」を観てきました。本当ならもっと早くに観るつもりだったのですが、仕事に追われている時期はテーマが重いこの作品を観る気持ちになれなくて、休みに入った今日になりました。もともと悲劇は苦手なのですが、それでも役者・中居が心血を注いだ作品として興味深く観ました。観終わって、公開前に中居くんが雑誌やテレビのインタビューで伝えたいと話していたことは伝わったんじゃないかなと思いました。それは、主人公の豊松はヒーローではなく、普通のどこにでもいる人だったということ。彼は、足を引きずっているために動きはどんくさく、優しい性格は弱気に映り、兵隊としてはいまいちの評価。上官の命令で捕虜を傷つけただけで、絞首刑にされてしまうが、当然受け入れられない。最後は、戦争や時代や社会を恨み、恵まれなかった自分の人生に絶望し、死んで行く。「生まれ変わったら何になりたい?」と聞かれて、「家族と幸せに暮らしたい」ではなく、「金持ちになりたい」と答えるのが衝撃的でした。そして、死ぬときは、「家族を心配しなくていいから貝になりたい」と。深い悲しみや絶望は、人から大切な感情を奪っていく。逆に、そう思い込まないと死んでいけないのかもしれませんが。いろいろ考えさせられる映画でした。

終わってミント神戸で食事。お豆腐もお刺身も天ぷらもおいしかったですが、一つご飯が団子のように固まっていていただけなかったです。田舎の人間は、米にはうるさくなるようです。